YADO CAREER JOURNAL

【ホテル業界のIot化とは】宿泊客と宿泊施設の2軸で比較してみた

みなさん、IoTという言葉を知っているでしょうか。IoTとはInternet of Thingsの略称であり、「モノのインターネット」を指します。内容としては、インターネットを通じてモノを操作したり、モノの状態などを知ることが出来ます。またモノ同士をインターネットを通して、連携させることも可能です。現在、多くの業界でIoT製品が増えてきてます。例えば住宅業界や不動産業界では、スマートフォンで家電等を操作するIot製品が人気を博してます。電気の付け消しや、鍵の自動解錠等をスマートフォンで操作できることが特徴です。こういったIoT化されている住宅をスマートハウスと言います。

そして、多くの業界で注目されているIoT化はホテル業界にも進出してきてます。有名なのが「変なホテル」(東京都港区)です。変なホテルではフロントにロボットを用いて、宿泊客のチェックイン関連を対応しています。また、客室では部屋内の照明やテレビ、空調等を一元に操作できるタブレットを配置しています。

今回は宿泊業界においてのIoT化が従来の”おもてなし”に影響を及ぼすかどうかを、「宿泊客・宿泊施設運営」の2軸で比較してみました。

宿泊客が感じるIoT化

まずはじめに宿泊者側からみた宿泊業界においてのIoT化のメリットデメリットです。メリットとしては、チェックインチェックアウト時において、待たされる時間を短縮することが出来ます。例えば予約サイトから発行されたQRコードをかざすだけでルームカードが発行される、といったことも可能です。ホテルや旅館で一番忙しい時間帯は、チェックインの時間と言われています。多くの宿泊客が集中するため、待たされることもしばしばあります。チェックインをロボットなどでIoT化すれば、時間短縮が出来ます。また他には、部屋内のタブレットでルームサービスを頼むことや、部屋内の製品の利用説明等も出来るため、毎回電話をする手間もいらなくなってきます。最近では、宿泊客が国内で使えるスマートフォンが常備されている宿泊施設も多くあります。

次にIoT化することで宿泊客にどういったデメリットがあるかです。やはり、宿泊する上で困ることは多種多様です。それらを解決するのは優秀なホテルのスタッフかと思います。例えば、「子供が小さいのでこういった物が必要です」や「こういったアレルギーがあるので変えて欲しい」など、特別なご要望も宿泊施設側に伝えれば、ほとんど対応してもらえます。宿泊する上でIoT化は便利を生み出しますが、宿泊業界特有の”おもてなし”を感じる機会が減ってしまうのは大きなデメリットといえるでしょう。

宿泊施設側からみたIoT

次にお客様を”おもてなし”するホテルや旅館側から見たIoT化のメリット・デメリットです。まずはじめにメリットとしては、訪日外国人が増えている現状に対して、スムーズに英語対応が出来ることでしょう。外国語を話せる人材を新しく採用することは容易なことではなく、また採用後も接客の教育や、おもてなしの教育も必要になってきます。

次にIoT化することによって、フロント業務など多くのリソースを必要としている職種も多少削減出来ることができ、業務効率化も高まることが見込まれます。他には、スマートフォンなどで部屋を解錠できるようにすると、鍵の紛失等の問題も解消できるでしょう。

しかし、IoT化すれば宿泊施設としてメリットだけでなく、多くのデメリットも生まれてきます。まずはじめに、他の宿泊施設との強みの差別化が難しくなってくるでしょう。お客様が宿泊施設を選ぶ上で、立地や施設環境の良さだけでなく、各ホテルの”おもてなし”も重要視しています。サービスの多くをIoT化してしまうと、立地や施設環境のみで判断されてしまい、顧客満足度の限界も生まれてしまいます。つまり、スタッフ全員の気配りや機転の早さが高いことで、ロボット以上のサービスを期待できます。また、ロボットはマニュアル通りに動くことは可能ですが、マニュマル外の対応は出来ないでしょう。そこで必要になってくるのが、ヒトの力です。現在の宿泊施設のおもてなし・ホスピタリティは、多くの先人の方々が創り出してきたものです。お客様が望むもの以上のことを提供する、これが宿泊施設の大きな強みと言えるでしょう。

→日本人の心「おもてなし」とはなに?~「おもてなし」と「ホスピタリティ」の違い~

 

今後すべきこと

このようにIoT化が進む昨今、便利以上に大事なことは多く存在しています。私たちは必要不必要という選択だけでなく、「誰かのために」という点で物事を考える必要があるのかもしれません。IoT化という大きな岐路に対し、メリットデメリットの双方から判断し、しっかり問題と向き合っていく必要があるでしょう。

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