【オリンピック効果だけじゃない】訪日外国人が増える3つの要因
昨今、街を見渡すと外国の方を多く見かけるようになりました。日本にはそれほど訪日外国人が増えています。観光局の調べだと、2008年の約835万人から2017年は約2,870万人に増えています。つまり、たった10年で3.4倍の外国人が日本に訪れています。皆さんは、この理由が全てオリンピック効果だと思っていませんか?東京でオリンピック開催が決まった2013年の翌年2014年は約1,340万人でした。それだけを考慮してみても、約2.1倍もの訪日外国人が増えています。このように、訪日外国人の増加はオリンピックだけが要因ではないことが分かります。
今回はオリンピック効果だけではなく、「なぜ日本に訪日外国人が増えているのか。」に注目しました。そして、訪日外国人が増加することによって、宿泊業界はどのような対応をしていかなければいけないかをお伝えします。
ビザの緩和
オリンピック開催7年前から毎年訪日外国人が増えることは考えにくいことです。そうすると何が要因でこのような増加現象を生み出しているのか。その理由のひとつは海外諸国への「ビザの緩和」です。まずはじめに、オリンピックが決まった2013年に大きな変化がありました。それは東南アジアのタイ・マレーシア・ベトナム・フィリピン・インドネシアに対してのビザ緩和です。国によって期間は違いますが、旅行する際のビザに関しての緩和が取り行われました。そして年々、他の国においての日本渡航に関するビザ取得も緩和されたことが、訪日外国人の増加に繋がっています。結果、2017年7月時点で68の国において、ビザ取得が免除されています。現状、訪日外国人の国別ランキングトップ10のうち7ヵ国(韓国・台湾・香港・タイ・シンガポール・マレーシア・インドネシア)がビザ免除になっています。
訪日外国人への円安効果
次の増加要因として挙げられるのが「円安効果」です。オリンピック開催が決まる前年の2012年は、年間平均レートで79.6円です。そこから6年という短い期間で年間平均レートが109円に上昇しています。つまり為替情勢だけで考えても、約1.37倍にも及んでいます。また、外国の方からするとビザ緩和の要因と円安が重なったことで、日本への旅行を選択することに繋がったのでしょう。特に東南アジア諸国からすると、ヨーロッパ旅行やアメリカ旅行に比べると日本旅行は安く済ませることができます。こういった景気状況も要因の一つです。
ネット社会の発展
ビザ緩和や円安効果も訪日外国人の増加の要因ですが、2000年代の象徴といえば、「ネット社会の発展」です。ネット社会とは皆さんもご存知の通り、インターネット上で形成する人間関係やコミュニケーションなどを指します。
日本旅行をした人は、日本の文化歴史や治安のみならず、日本製品の質の高さといった「ナマの情報」を経験しています。それらを周りの人に対して、旅行情報サイトやブログなどを通して情報提供します。日本旅行を検討している人や日本以外の国への旅行を考えている人は、それらを参考に旅行を決めていきます。つまり、ネット社会が発展したことによって、日本旅行をする良い判断材料も多く流通しているのです。
宿泊業界のすべきこと
2年後に迫った東京オリンピック。世界各国の人が4年に一度の祭典を体験するため、日本に来るでしょう。現状、開催都市の東京だけでなく、世界でも有数の観光都市である大阪・京都ではオリンピックに向けて、ホテルの建設ラッシュをしています。しかし、上記でも述べたように、オリンピックのみが訪日外国人増加の要因ではありません。ビザの緩和・ネットでの情報流通を考えると、今後も訪日外国人は増加していく可能性は大いにあります。そこに対してまず、宿泊業界は訪日外国人の受け入れ体制を整えなければいけません。サービス業会全体が問題視している人材不足を解消し、新たな人材への教育を浸透する必要があります。これは簡単な問題ではなく、宿泊業界全体が向き合っていくべきことでしょう。
「日本はこういう国だろう」という先入観を抱いて訪日する外国人は多いです。”おもてなし”という世界共通語に合った接客をし、一人でも多くの訪日外国人を幸せにしていただければと思います。