御三家ホテルの変遷と日系ホテルの海外進出 ーおもてなしを世界へー
御三家ホテルの変遷
皆さんは、宿泊業界の御三家を知っていますか?
御三家として名前が挙がるホテルは、時代ごとに変化が起きています。日本で初めて御三家ホテルと呼ばれだしたのは、バブル期が始まりだした1980年代と言われています。最初の御三家は現在でも多くの著名人や海外の要人が宿泊する「帝国ホテル」「ホテルオークラ」「ホテルニューオータニ」です。各ホテルに特色があり、約120年の歴史を誇る「帝国ホテル」は特に”おもてなし”に特化したホテルと言えるでしょう。チェックインからチェックアウト後、ホテルを出られるまで最上級のサービスを提供しています。「ホテルオークラ」はこの中で最も日本を感じる事が出来るホテルでしょう。ホテル内には「和」を感じるポイントが多くあり、海外からのお客様も泊まるだけで日本を感じられるホテルとなっています。最後の「ホテルニューオータニ」といえば、ホテルを囲む日本庭園と360°回転するラウンジです。またホテル内には35以上の飲食店があるのも特徴です。このように最初の御三家は日系ホテルが占めていました。
しかし、10年も経つと新たな御三家が出てくるようになります。それが「ウェスティンホテル東京、パークハイアット東京、フォーシーズンズホテル椿山荘東京」です。たった10年で御三家は大きく変化がありました。それは外資系ホテルの日本進出です。そこから2000年代に入ると「マンダリン・オリエンタル東京、ザ・ペニンシュラ東京、リッツカールトン東京」が御三家と呼ばれるようになりました。このように日本では多くの外資系ホテルが日本進出をしており、サービスレベルもトップレベルを誇っております。サービスのみでなく、施設内は豪華絢爛な装飾が施してあり、多くの著名人も利用しています。
日系ホテルの海外進出
外資系ホテルがこれだけ日本進出をしていますが、日系ホテルも負けじと新たな展開をしています。それが日系ホテルの海外進出です。他のコラムでも紹介されていますが、日本には多くの外国人が訪れきています。これはビザの緩和やオリンピック効果などが影響しています。しかし日本人も外国人同様、海外に行く事が増えてきているようです。これは旅行だけでなく、日系企業の海外進出に伴い、ビジネス関連で出張で行く事が多くなったからです。その影響で日系企業のビジネスホテルチェーンが海外進出をするようになりました。例えばアパホテルはアメリカやカナダ・ドイツに進出しています。他にも東横インや呉竹荘なども進出しています。海外進出している日系ホテルの中でも老舗のオークラホテルズ&リゾーツも含め、現在は60以上の施設が海外で運営されています。戦後以降、多くの進出撤退を重ねてきましたが、現在の日本に宿泊業界において、大きな注目を浴びているビジネスホテルが大きな進化を遂げています。いままでのビジネスホテルはただ泊まることをメインにした作りでしたが、現在のビジネスホテルはラグジュアリーを感じさせる様な作りに変わりました。例えば、現在全国に20施設を展開しているカンデオ・ホテルズはその一例と言えるでしょう。ただ泊まるだけのビジネスホテルでもなく、価格の高いハイグレードのホテルでもない、新たな業態を展開しています。新店舗を次々に出しており、今後は海外展開も視野に入れているようで、さらに注目が高まっています。
しかし、日系ホテルの海外進出は多くの失敗を経て、現在があります。例えば日系ホテルの特徴としては、ターゲットユーザーが日本人ということが挙げられます。これは非常にニッチなマーケットであり、海外展開する上では大きなリスクです。日本人をターゲットにすることによって、従業員も自然と日本人が多くなります。そうすることで、地元の外国人に馴染まなくなり共存が難しくなります。こういった教訓をもとに、現在海外展開しているホテルチェーンはターゲットを日本人のみではなく、全世界の人々に向けて展開しています。
“おもてなし”の世界対応
最後に、宿泊業界は多くの成功、失敗を繰り返しながら多くの変化がありました。日本でホテル・旅館を運営されている方は訪日外国人に向け、海外対応を少しずつ始めています。それと同様に海外進出する日系ホテルは、日本人ユーザーのみでなく世界各国の旅行客にターゲットを変えています。今後、私たちは世界の波に流されないよう、自主的に世界対応していく必要があるでしょう。