YADO CAREER JOURNAL

日本人の心「おもてなし」とはなに?~「おもてなし」と「ホスピタリティ」の違い~

 

オリンピックの東京開催誘致のためにプレゼンテーションで世界に強烈な印象を与えた言葉、それが“お・も・て・な・し”。このホテル業界には欠かせない言葉の意味を正確に説明できる人はあまりいません。曖昧なままこの言葉が業界に浸透していく前に、本当の意味を知っていく必要があります。

 

「おもてなし」の語源と由来

 

「おもてなし」とは「もてなし」に「お」を付けたもので、語源はものを「持って成し遂げる」から来ており、お客様に応対する扱い待遇のことを指します。もう一つ意味としては“裏表なし”と文字通り表裏がない心でお客様を迎えることと、二つの意味を合わせたものが一般的“おもてなし”の語源とされます。
「おもてなし」の基本的な考え方を生んだのは茶道で有名な千利休です。それは千利休の残した「利休七則」に記されてます。

 

「茶は服の良き様に点て、炭は湯の沸く様に置き、冬は暖かに夏は涼しく、

花は野の花の様に生け、刻限は早めに、降らずとも雨の用意、相客に心せよ」

 

要約すると「無駄を省くため相手の気持ちを考え、本質を見極めた上相手を想いやり、ゆとりをもって、備えを怠らず、全てのお客様に気を配りなさい」となります。客人を思いやる気持ちと日本古来の素敵な考え方です。

 

「ホスピタリティ」との違い

ホテル業界ではよく耳にする「ホスピタリティ」という言葉があります。「おもてなし」と「ホスピタリティ」とホテルのサービスを評価する時に、よく使われるこの二つの言葉の意味が似ていると感じている方は多いと思います。では「ホスピタリティ」とはなにかを見ていきましょう。

「ホスピタリティ」という言葉の意味は、日本ホスピタリティ協会によると「接客・接遇の場面だけで発揮されるものではなく、人と人、人とモノ、人と社会、人と自然などの関わりにおいて具現化されるもの」と記されています。少し意味合いが広すぎて分かりにくい部分もありますが、同協会によると「もてなしもホスピタリティのことである」とも定義してます。すなわち「ホスピタリティ」と「おもてなし」は同意義と考えて良いではないでしょうか。

 

「おもてなし」の最前線

「おもてなし」という言葉が良く使われているのはまさにホテルサービスです。ホテルに宿泊する際には必ず「サービス料」という名目の費用があります。まさにホテルで提供される「おもてなし」や「ホスピタリティ」がそのサービス料として宿泊料金に含まれてます。

人のお世話をするのが好きで、サービス精神旺盛な方々は宿泊業界向きだと言われています。そのためにより良いサービス提供をするために情報収集や、サービスについて学ぶことを惜しまないことができる人は、そのサービス料をいただける権利があるとも言ってもいいでしょう。

お客様からは極稀に少々難しいご要望をお願いされることもあります。しかし、ホテルにはマニュアルがあり、就業規則も定められています。その決められたマニュアルや就業規則だけでは対処できないこともありますが、その際はマニュアルにとらわれない考え方で、ホテルの利益とお客様の需要に対してバランスの良いサービスを提供するのも「おもてなし」です。

ページ上部へ移動